金融機関、そして投資家にも“必読”のニュースといえよう。
6月21日付の毎日新聞夕刊によると、不発弾が市民を殺傷するクラスター爆弾の禁止運動をきっかけに、非倫理的な活動を行っている企業への投融資自粛を促す動きが、欧州で広がっているという。
報じられている事実をざっとまとめると、まずベルギーが2006年に、クラスター爆弾の製造を禁止する世界初の国内法を制定した。さらに翌年、これまた世界で初の試みとして、国内の金融機関に対して爆弾製造企業への融資も禁止した。これと歩調を合わせ、欧州ではフランスの保険大手であるアクサグループや、ノルウェー、オランダの公的年金基金など、複数の大手金融機関が実際に爆弾製造企業への融資自粛を決定したというのである。
毎日新聞が引用しているベルギーの非政府組織(NGO)「ネットワーク・フランデレン」の調査によると、03年以降、世界の金融機関がクラスター爆弾製造、環境問題、人種問題に関連する問題のある企業に融資している額は、合計で550億ドル(5兆5000円強)に上る。しかも、そのうちの130億ドルは、ネットワーク・フランデレンが言うところの「最も悪質な企業」13社に集中している。具体的には、森林伐採などを続ける鉱山会社、ミャンマーの軍事政権に軍用機を売却した中国の航空機メーカーや、組合つぶしを行う米国系のスーパーなどだ。業種も国籍も多岐に渡る。
この記事では、日本の三大メガバンク(三菱UFJ、みずほ、三井住友)についても、非倫理的企業に対して合計8億ドル以上の融資を実行したことが指摘されている。
ある邦銀グループでは、融資の事実を認めつつも、「資金が不正に使われないように監視規定を設けている」と主張したとのことだ。だが直接悪いことにおカネが使われていなくても、一方でおカネの融通がつけば他方に余裕ができるのは当然のことだ。徹底的に追求された場合、融資資金の使途を監視する規定を設ける程度のことでは、こうした運動に対する反論として不十分だろう。
目下のところ、この運動に対する金融機関の対応はさまざまらしい。「いまさらお金に色はつけられない」と言って取り合わない方針の金融機関もあるようだ。