確かに、商社勤務の友人の中には、チャンスを見逃さない積極性を持った人が多い。そうした積極性があるからこそ、世界のどこかにあるビジネスチャンスを掴み、収益をひねり出すことができる。

 しかし、常に積極性ばかりではリスクに対応することは難しい。時には、冷静にリスクを評価し、それに見合ったリターンがあるかどうかを慎重に判断することが必須の条件になる。大手商社が、そうした機能を持っていなかったわけではない。今までにも、リスクの顕在化によって多額の損失の計上を余儀なくされたことはある。

 重要なポイントは、機に敏い優秀な人材の多い商社では、短期的な収益に目が行きがちで、時としてリスクを過小評価してしまう“企業文化”があることだ。時には、その文化を抑え込んででも精緻なリスク管理を徹底することが必要だ。

 リスク管理体制をつくるのは、経営の役目だ。目の前の利益を見逃すことは、前線で球を打ちあう担当者には難しいことが多い。トップダウンで、組織内にリスク管理の考え方を根付かせるべきだ。

積極性ばかりでなくリスク管理も
本来の商社機能への回帰も検討せよ

 もう1つ考えるべき点は、商社本来の仲介機能の見直しだ。多くのケースで、大手商社の担当者の専門知識は高レベルだ。その専門的な知識や整備された情報網を使って、売りたい人と買いたい人を仲介することが可能になる。

 おそらく、そうした仲介機能で得られる利幅は、投資活動よりも低いだろう。しかし、一般的に仲介ではリスクは限定される。それを積み上げることができれば、相応の収益性を保つことはできるはずだ。

 商社はかつて“冬の時代”を過ごし、今また“夏の時代”の終焉を迎えつつある。また新しいビジネスモデルをつくればよい。