「石橋をたたいても渡らないといわれていた堅実経営の住友商事がまさか……」(大手商社関係者)
住友商事がシェールオイルの開発などに失敗、2015年3月期に総額2400億円と巨額の減損損失を計上することとなった。最終利益は2500億円の期初予想から大幅に下方修正して100億円になる見通しだ。
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これを受けて格付け機関のR&Iは、住友商事の格付けの方向性をAA(-)安定的からネガティブに引き下げた。「新規投資のリスク管理や、モニタリングが必ずしもうまく機能していない」(中島快チーフアナリスト)とされ、1~2年以内にさらなる減損を計上すれば格下げの可能性もある。
なぜ、2400億円もの巨額損失を計上するに至ったのか。
「エネルギー権益を高値つかみしてしまったし、目利き力がなかったということ」と、エネルギー分野に詳しい関係者は解説する。
今回、減損を発表した大型案件四つのうち三つがエネルギー関連で、いずれも10~12年に投資したもの。すでに資源価格は上昇、商社各社が資源バブルに沸いていた時期だ。
資源価格が格安だった1960年代に鉄鉱石や石炭権益を取得、価格が下落しても利益を確保し、周辺の鉱山まで事業を拡張するなど絶好調な三井物産とは対照的だ。