さらに良いことに、クラウドが驚くべきペースで膨張するのに合わせて、アップルのシステムも拡大している。「デバイス/サーバ数の急激な増大」×「デバイス/サーバ性能の急激な向上」×「サポートされるアプリの数の急激な増大」という掛け算です。

 クラウドが成長するのに合わせて、アップルも成長する。松下幸之助の「水道」がナイアガラの滝へと成長するようなペースで、アップルは成長しているんです。これほどの潜在能力を持つ企業は、他にありません。

クラウド革命は人類最大の出来事
後れをとった企業は消滅するだろう

 クラウドという考え方の意義は、1440年のグーテンベルクによる印刷術の発明よりも革命的です。印刷術は欧州全体を飲み込み、宗教改革を吐き出し、それと共にアメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、そして最終的には近代の世界の大半を生み出しました。そう考えると、これを上回るクラウド革命は人類の歴史のなかで最大の出来事。クラウド膨張の速度に後れを取った企業は、消滅するでしょう。

 ジョブズの「水道としてのクラウド」という哲学によって、アップルの売上高は年間2000億ドルに迫った。今、ティム・クックCEOは年間4000億ドル、そして8000億ドルへと挑戦を続けています。

 ただし、アップルのようなビジネスモデルに「売上高倍増」という目標を適用する場合、いくつかの課題がすぐに明らかになります。

 第一に、今日アップルが参入しているような1000億ドル規模の市場よりも、1ケタ大きな市場が必要になります。年間数兆ドル規模の市場でなければなりません。

 第二に、アプリのマネタイズ(現金化)を、今よりもはるかに高度なレベルに押し上げていく必要があります。ネットフリックス社のような発想を取り入れ、ゲームから航空機誘導に至るまで、あらゆるアプリにそれを応用していかなければならないでしょう。

 このように、さほど複雑とも言えない観察のもとで、筆者はここ数年クライアントに対して、アップルは自社のクラウドシステムを使って世界の二大「○兆ドル」市場、つまり自動車と医療に参入するだろうと語ってきました。