拙著『日本はモノ作り至上主義で生き残れるか』(ダイヤモンド社)でも、このことは再三繰り返しましたが、2014年初頭、筆者が予想したとおりにアップルはこの2つの市場に参入しました。

 期待はさらに膨らみます。アップルはほぼ確実に、先進的な「iCar」を持つことでしょう。これは、電気駆動で自動操縦機能がついた「車輪のついたiPad」です。このクルマによって自動車製造の世界は一変するでしょう。

 こうしたクラウドベースの自動車は、市場においてトヨタやニッサンといった既存メーカーの製品の性能を凌駕するだけではありません。ディーラー経由ではなく、アップルストア直販とすることで、アップルは既存メーカーでは得られないほどの利益率を確保します。

 さらにアップルは、フォックスコン社のようなサプライチェーンを使って、在庫日数と売掛債権回転日数を、トヨタなどの旧来のサプライチェーンにとっては夢物語にすぎない水準に抑え込むでしょう。

現在のモデルで売上倍増は難しい
アップルを刺激するディズニーの存在

 アップルがこれまでよりはるかに大規模な市場へと拡大していく様子は、すでに見て来た通りです。では第二の動き、つまり同社のクラウドベースのプラットフォーム全体における、アプリのマネタイズについて見て行きましょう。

 一見したところ、サードパーティによるアプリ提供という戦略を、アップルが続けるべきでないと考える理由はありません。すでに見たように、このやり方はほぼリスクフリーであり、アップルは他人の担ぐ神輿に乗って前進することができる。

 しかし、AppStoreによってアップルが得ている売上は、確かに好調ではあるものの(アプリ開発企業がアップルにもたらす収益は毎年倍増の勢いで、2013年には100億ドルとなった)、年商2000億ドル規模の企業が売上高を倍増させるには十分ではありません。

 アップルには、新しい想像力を刺激するような、非常に大きな「何か」が必要です。その条件に完璧に当てはまるのが、ディズニーなのです。