保育園について見落としがちなのが、自治体によって保育料が大きく違うということ。保育園特集を組んだ実用ライフスタイル誌「ダイヤモンドQ」編集部がお送りする連載の第7回は、東京23区における、認可保育園、認証保育園の保育料の違いを取り上げる。

 保育園については、待機児童数や保育園の質が注目されがちだが、保育料についても注意しておきたい。実は自治体によって保育料は大きく異なり、月の保育料で2万円以上の差があるのだ。大都市においては保育園に入りやすい自治体を求めて引っ越しをする人がいるが、その際に保育料をあらかじめチェックしておかないと、その負担の大きさに泣かされることもある。

渋谷区の認可保育園
年収300万円でも保育料0円

 認可保育園の保育料は世帯収入に比例させて決めている。ただし、計算方法はまちまちだ。そこで東京23区について保育料を調査してみた。

 世帯収入が300万円として、2014年4月1日時点の保育料を比較してみよう。最も保育料(月額)が安いのは渋谷区で0円。最も保育料(月額)が高いのは足立区の2万1000円だ。年間では25万円以上の差がある。世帯収入300万円の家族にとってこの差は大きい。

 ちなみに、2013年4月に待機児童数0人を達成するなど、待機児童対策に積極的なことで有名な横浜市は、2万5000円と23区よりも高かった。待機児童が少ないことと保育料はあまり関係がない。

 また世帯収入によっても、保育料は大きく変化する。世帯収入900万円として23区を比較すると、太田区が最も安く3万4000円で、最も高いのは世田谷区と豊島区で5万3300円だ。横浜市については6万9400円と、こちらも23区より高かった。

 意外だったのは、東京都独自の制度である「認証保育園」の保育料がそれほど高くなかったこと。国の制度である「認可保育園」は保育料が安く、認証保育園の保育料は高いと思われがちだ。ただし、調べてみると保育料に大きな差がつかないよう、ほとんどの区は認証保育園に通う世帯に補助金を出している。認証保育園に通う世帯に補助金を出していないのは、23区では江戸川区だけだった。

 例えば、渋谷区、荒川区、中野区の3区は、認可保育園と認証保育園の保育料はほぼ一緒だ。認可保育園と認証保育園の保育料の差額の大半を、世帯に補助金として支給するのは豊島区、台東区、中央区、墨田区だ。また、世帯収入に応じて世帯への補助金額を決めている区も多かった。