製造業の分野では、iPhoneなどの商品で一世を風靡したアップルのビジネスモデルに追随する風潮が高まっている。つまり、商品のコンセプト、デザイン、上層設計などは自分たちの手で完成するが、具体的な製造においては、外部の企業に依頼する。工場を所有・維持しないから、企業運営はその分軽くてすむ。利益も出やすい。それは理想的な構造だと言われる。
中国でも同様の現象が見られる。中国国内で注目を集めた新しい携帯電話製造メーカーー・小米科技(シャオミ)も完全にその路線を歩む典型的な企業だ。中国最大の家電メーカーであるハイアールも脱製造業というスローガンを口にしている。しかし、もう一方の雄と評価されるレノボの考えは違う。
レノボ会長兼CEO・楊元慶の決意
中国の報道資料などを中心に、製造重視路線を歩むレノボの最新の動きを読者の皆さんにお伝えしたい。
武漢の新しい商業地域である光谷広場から車で30分ほど走ると、レノボの最も新しい生産拠点となる武漢移動互聯網産品生産基地(以下、武漢工場とする)に到着する。東湖開発区と呼ばれるこの地に駐在する企業はまだそれほど多くなく、レノボに従ってやってきた4~5社のサプライヤーの工場がある程度だが、実際にはすでに30社以上のサプライヤーがレノボの後に従って武漢にやってきている。この人口の密集する華中地域の都市はレノボのこれからのPC生産拠点となって、タブレットやスマートフォン製品を生産することになり、生産能力はすでに1億台に達する。
欧米のIT企業をはじめとする多くの企業が次第にハードウェアから離れつつあるのに、レノボ会長兼CEOである楊元慶氏は逆に、製造業の優位性を取り戻すことを決意した。2~3年後には世界一の製造企業になりたいと考え、武漢工場、PC製造のための合肥工場、アメリカ工場という態勢を整えた。そのため、一連の買収を通じて自らのサプライチェーンシステムを全世界に延伸した。