世界最大のパソコンメーカーである中国レノボは1月、米グーグルから29億ドル(2970億円)で傘下の老舗通信機器メーカー、モトローラを買収すると発表した。モバイル分野で急成長を続けている同社の経営戦略について、日本法人を束ねるロードリック・ラピン社長に聞いた。
──老舗モトローラのブランド資産を活用すれば、先進国のビジネスが広がりますね。
わずか数週間前までレノボはパソコンメーカーであり、スマートフォンの世界では挑戦者でした。しかし今回のモトローラ買収によって、世界第3位の地位に就いたことにとても興奮しています。
レノボは、特に新興市場のビジネスに強さがあります。一方モトローラは米国や南米、欧州などレノボのスマートフォンが進出していない市場に強いのです。
つまり地域的なオーバーラップは少なく、とても補完的な関係にあります。この「レノボ」と「モトローラ」という二つのブランドを抱えながら、適切なタイミングに、適切な市場に投入していくことが重要です。
またスマートフォンの技術に精通する3500人もの技術エキスパートが世界中から移籍してきます。モトローラは日本市場で営業をしていませんが、彼らは、日本市場への製品カスタマイズの方法等も熟知している人々です。
──日本のスマホ市場には「レノボ」「ThinkPad」「モトローラ」の三つのうち、どのブランドが効果的でしょうか。
まだ、その部分については決定していません。ただ個人的な意見としては、一つのブランドに絞るべきでしょう。
確かに、日本ではモトローラのブランド力は高いです。トランシーバーもあり、基地局もあり、その伝統、過去の遺産もあってブランドはよく知られています。一方で、仮にレノボブランドでスマホを発売したとしても、同様のレベルまでブランド力を上げることは可能ではないでしょうか。