では、いわゆる民主主義国家群である、「米英」や「欧州」情報ピラミッドはどうなのか?
確かに、普段は比較的自由な報道がされている。しかし「いざ戦争!」となると、欧米メディアも速やかに「国家のプロパガンダマシーン」に変身する。もし欧米メディアがまったく国を恐れていないのなら、「フセインはアルカイダと仲が悪いですよ」とか、「化学兵器を使ったのは反アサド派ですよ」などの情報をもっと流すはずである。
しかし、欧米メディアは、国が流す「ウソの情報」を、「ウソ」と知りながら垂れ流しつづけていた。有事となれば、欧米メディアも中ロメディアと本質は変わらないのだ。
こういう事実を知った上で、「各情報ピラミッドを使いこなす」ことが重要である。
たとえば、筆者の住むロシア。この国は、「クレムリン情報ピラミッド」に属している。ほとんどのロシア国民が、クレムリンが流す情報を、そのまま信じている。(たとえば、ロシア人の90%以上が、「クリミア併合」を正義だと感じ、支持している。)
クレムリン情報ピラミッドでは、プーチンと側近たちの暗部は決して出てこない。たとえば、最近フランスメディアが、プーチンの報道官の浮気を報じた。しかし、ロシア在住のロシア人は、まったくそのことを知らない。
では、「クレムリン情報ピラミッド」は、「全然使えない」のだろうか?そうでもない。「クレムリン情報ピラミッド」のタブーは、「プーチンと側近のダークサイド」に限られる。
逆に「欧米のダークサイド」については、「バンバン報道すること」が奨励されているのだ。だから「クレムリン情報ピラミッド」を追っていれば、日本では滅多に見られない貴重な情報に接することができる。