10月21日、香港で普通選挙を求める学生と香港政府の間で対話が行われた。「全人代がすべてを決定するのはおかしい、撤回を要求する」とした学生に対し、香港政府は「香港は政治的に独立した体制でない」と、頑として受け入れなかった。対話は平行線をたどり、改めて対立の根深さを浮き彫りにした。

 抗議活動はさらに長引くようだ。そもそも中国はこれをどう見ているのか。中国政府および共産党の公式見解は次のようなものだ。

共産党の公式見解
「英国より中国の方がよほど民主的」

「占中(中環の占拠)という非法集会は3500億元もの経済損失をもたらし、市民生活や香港の法治に影響を及ぼし、民主の発展、社会の安定、国際的イメージにおいて多大な損害をもたらした」

「占中は全人代の決定を覆そうとし、さらには長官を引きずり降ろそうとする、過激な抗議手法で政府を脅かすものだ」

 そしてさらにこう続く。

「少数の人々は『我々は英国時代に戻りたい』と言うが、1982年まで香港人には選挙権、被選挙権などなかったのだ。当時は誰が総督になろうとも香港人には発言権はなかった。英国より中国の方がよほど民主的なのだ」(新華社)

 これを聞けば中国大陸の国民は「そうなのか」と思ってしまう。民主化を求める「同胞」の動きに、肝心の中国大陸の中国人が背を向けたのも、こうした理由からだろう。日頃、共産党批判に気炎を上げる市井の人々も、同胞が闘う民主化運動にはあまり関心がない。それどころか、大陸の若者は学生の活動を「幼稚だ」「無邪気だ」「笑える」などと嘲笑する。

 言うまでもなく、中国は西側諸国型の民主主義には懐疑的だ。共産党国家の中国は「西側諸国の民主制度が生んだ結果を、決して民主とみなすことはできない」とする立場なのである。

 上海の大学生が手にするテキストにはこう書かれている。