今回の認証制度では「塩分(食塩相当量)は1食3g未満」が条件(基準)になっている。1日3食分では9g未満になる。2015年版食事摂取基準では、1日あたりの塩分目標摂取量は、12歳以上の男性は8g未満、女性は7g未満である。認証マークの食品・料理を食べると摂取目標値を上回る。

 摂取カロリーは、認証マーク制度では「1食分650kcal未満」。1日3食分で1950kcal未満になる。ところが食事摂取基準では、1日当たりの推定エネルギー必要量は、18~49歳の男性で2300~3150kcal、女性で1650~2300kcalである。認証マークの食品・料理を食べただけでは、多くの人が目標摂取量を確保することができない。

 厚労省が作った目標値を、厚労省自身が破っていることになる。

国はなんの認証も保証もしてくれない?
本気で作ったと思えない制度

 これだけでも厚労省が本気で作った制度とは到底思えないが、本気度がないことを示す実態が他にもある。この認証制度は、有機JAS制度のように第三者機関などが認証するものではない。認証に国や公正な機関が携わることはなく、あくまで自己認証制度になっている。小売店や製造者、外食産業などの事業者が、基準を満たしていると思えば、勝手にマークを表示することができる。

 では、国の基準が実際に守られているかどうかを、厚労省などが監視・摘発するのかというと、来年4月からスタートするというのに「その点はまだ何も決まっていない」という。事業者側のやりたい放題になる可能性もある。厚労省は、食事バランスガイドのように定着しないと予想しているのではないだろうか。というより「認証マークの食品を食べれば健康になれると誤解されて定着すると困る」のは厚労省自身である。むしろ定着しないことを望んでいるのではないか。

 では、どうしてこんな制度を作ったのか。それは安倍首相が成長戦略の一つとして強引に推し進めたからだ。そもそも、家庭料理より小売店で販売される弁当・惣菜や、外食を奨励することが健康につながるとは思えない。1日あたりの食生活全体で健康を考えてきた厚労省(世界的にも同様)にとっては、今回の制度作りはこの上もなく迷惑千万な作業であったろう。

 健康マーク食品を食べていれば健康になれるというのは幻想である。