それなのに、ずらずらやってくるのは、全体を把握し大局感を持ちながら、かつ個々の内容や技術の大枠を適切に答えられる人がいないからだ。育ててきていないとも言えるし、組織的にそのような権限をもった職責を作っていないとも言える。さらに、客先で聞いてきた話をもとに社内に業務を割り振ることができないのだ。要するに、ニーズの理解が浅く、社内で信用されないのである。そのため、それぞれの部署の上長から、実際にお客さんの語る姿をその目で見てこいということになってしまう。

 さらに困ったことに、こういった企業の体質として「他部署の業務について軽々しくコメントしてはならない」と考えているフシがある。自分の担当部署を越えた話をすることを嫌がるし、基本的にしない。そのため、大勢座っていても、そのほとんどは自分の担当範囲以外のところは無関心を決め込んでいる。質問してもユーザー視点に合わせて答えるのではなく、技術的に正しく説明する。こちらの求めている答えとは違うことは明白なのに、誰も補足も訂正もしない。

 こういう企業と仕事をすると、こちらのニーズと技術との間の橋渡しを上手にしてくれることは期待できないし、相手の担当者同士の中間に発生しそうな問題に適切に対応してくれない。結果的に、それらのコーディネーションを発注側でやらなくてはならない羽目になるから、コストも手間もかかる。

 そのうえ、エライ立場の人や営業が勉強しておらず、新技術や顧客ニーズの変化にもほとんどついていけていない。たとえば、A社の営業部長が行ったことは初めの世間話と、どこかの業界誌に乗っていそうな聞きかじりの事例で話を締めることだけだった(当人はカッコよく“決まった!”と思っているようだったが)。本来、エライ立場の人なら、顧客ニーズにも技術にも精通しており、全体のかじ取りやコーディネーションができるはずだと思いたいが、それは期待するだけ無駄というものだ。

 そして、値段が高い。会議に出ても何の発言もしない営業や、大量にいる非稼働人材や、貢献ゼロのエライ人の人件費、立派なオフィス代金まで上乗せされるから当然といえば当然である。でも、そんなに払う必要があるのだろうか?

 ……と、これだけ文句があるなら、別の会社に発注すれば良いと思われる方も多いだろう。困ったことに、大規模なシステム開発に経験がたくさんある会社はどこも似たりよったりだから、その中からマシなところを選ぶしかないのである。