まずは道路整備だった。都市部(富岡市など)に通勤しやすくし、若者の村外への流出を防ごうと考えたのである。水道や水洗トイレの整備にも力を入れた。都市部と同様の情報を得られるようにケーブルテレビを開局し、インターネットなどの情報環境も整えた。

 また、子どもを地元で安心して育てられるように行政サービスを充実させた。学校給食費や保育料の無料化、中学生までの医療費無料化、スクールバスの運行や高校生の通学費補助、さらには村内バスの休日無料パスポートなど。メニューには、結婚祝い金(3万円)や出産祝い金(5万円など)も用意された。

 村の担当者は「やれることは全てやっている。子育てする環境としては最高だと思います」と語る。

空き家を活用した定住促進策で
村外からの移住者がポツリポツリ

 さらに、村外からの転入を促す施策も掲げられた。定住促進奨励金制度である。村に定住するために住宅を新築、増改築した場合、最高で50万円を村が支給するというものだ。

 しかし、こうした村の「至れり尽くせり」のサービスも良い結果を生み出せなかった。これといった雇用の場がなかったからだ。

 もちろん、南牧村が企業誘致に力を入れた時期もあった。実際に成功し、工場が進出してきたこともあったが、撤退という憂き目にあってしまった。なにしろ平坦地の少ない、山間部の小規模自治体である。グローバルに活動する企業が食指を動かすような環境条件ではなかった。地域の特性が企業誘致のハンディとなっていたのである。

 南牧村が現在力を入れているのが、空き家を活用した定住促進策である。村内に点在する入居可能な空き家を村外の人に賃貸し、定住してもらおうという取り組みだ。

 実は、南牧村に村外から転居する人がポツリポツリと現れていた。年金暮らしや自由業、自営業といった人たちが暮らしやすさを求め、南牧村にやってきていたのである。彼らは色々なつてを頼って村内の空き家を借り、そこに居を構えていた。なにしろ、村に空き家となっている立派な民家はふんだんにある。