そう考えるのは、当たり前です。仕事ですから極めたら「対価」に反映されなければ意味がありません。キャリアアップで報酬がアップすれば、これまでの努力(資格を取るための努力や役職を上げるための社内アピール等)も報われます。ところが、そのあとにAさんが、

「でも、キャリアアップが報酬アップにつながるとは限らないんですよね」

 と悲しげな言葉をつぶやきました。事実、役職や等級が上がって基本給が多少は上がったものの、ボーナスが減り続けていたので報酬が(ほぼ)変わらない状態の先輩社員の嘆きを幾度も聞いていたからです。ですから、Aさんのみならず、いくら頑張っても、

<キャリアップと年収アップを切り分けて考える発想>

 を持つ人が増えてしまっているのでしょう。前出のエンジャパンの調査でも、年収アップをキャリアアップの目的にする人は4分の1のみ。それ以外の人は、

・明確な目標をもって仕事をしたいから
・自分の可能性を追求したいから

 といった回答です。当方には、なんとなく“本来の目的を置き去りにしたキャリアアップ”が注目されている気がしてなりません。キャリアアップの考え方は、本当にこれでよいのでしょうか?

キャリアアップのため外資系へ転職
肩書きは上がっても報酬は同じうえ……

 取材した製造業に勤務しているOさん(38歳)は、日本企業から外資系の同業他社に転職。その理由は、

「管理職に登用されるまでの時間がかかりすぎる。もっと、テンポよく、キャリアアップしたい」

 というものでした。責任ある仕事を任せてほしい、部下を指導する立場になりたい……そんな要望が以前の会社で叶えられる日を待つことができなかったようです。そこで、人材紹介会社にエントリーして転職先を探し、紹介を受けたのが欧米系の同業他社。まだ、日本法人が設立して数年のため、従業員規模は小さいものの、

「これまでの経験を活かしつつ、チャレンジできる役職でお願いできます」

 と肩書きは課長から部長に大幅アップしたオファー(内定)をもらうことができました。