11月上旬に出張で上海に行った。内需関連では強気の企業が増えている。繊維関係の機械を製造している企業は、受注が来年半ばまでいっぱいだという。景気刺激策と金融緩和の効果が続いている。
来年も中国政府は、財政・金融政策による刺激策を基本的に継続しながら、8%以上の成長を実現させるだろう。税収が増えているため、中央政府にはまだ余力がある。
中国人民銀行が緩和策からの出口政策を開始する時期は、先進国よりは早いはずだが、当面は緩和姿勢を維持すると思われる。
海外からは、安過ぎる人民元レートに批判が出ている。そういった批判を和らげるための、ガス抜き程度の人民元の調整はありうる。11月11日に人民銀行が発表した第3四半期の金融政策報告書には、人民元レートの切り上げをにおわせる文章が挿入されていた。
ただし、人民銀行は現在、アグレッシブなタカ派になっているわけではない。前回の報告書に書かれていた、金融緩和の度合いをファインチューニングするという文章は今回削除された。
その表現は前回、株価を急落させた。人民銀行は引き締め方向の印象が出過ぎないように、配慮している。
また、商務部(日本の経済産業省に相当)は人民元の切り上げに反対しているといううわさが上海市場では聞こえる。