状況3
挑戦的な目標(ストレッチ目標)を
トレーニー本人に腹落ちさせられない
対処法3
適切なレベルのストレッチは
本人の現有能力の1.2~1.5倍が目安
ストレッチ目標とは、努力しなければ達成できない目標(少し背伸びをした適度に難しい目標)を指します。
まず、ストレッチの度合いが、本人の能力と見合っているかを検証しましょう。
ストレッチ目標の達成に向けて努力することがトレーニーの成長を促しますが、それが「上(トレーナー)から押し付けられた目標」ではなく、「自分自身(トレーニー)が納得した目標」となるよう本人に腹落ちさせることが大切です。
ストレッチ目標を設定する際には、あくまでトレーニー本人の能力を基準とします。個人差はありますが、懸命に手を伸ばせば届くストレッチ目標の目安は、トレーニーの現有能力の「1.2~1.3倍」と言われています。あくまでも主観ですが、2~3割増しの目標という意味です。
例えば、目標が現有能力の0.8倍であるとすると、それは「努力せずに達成できる目標ですから」、目標設定としては低すぎます。ですから、成長には結び付きにくい、と言えます。
一方、目標が現有能力の2.0倍だとすると、それは努力しても届かない目標ということになり、やる気を削いだり、身体を壊したりする恐れがあります。
目標が現有能力に照らして低すぎたり高すぎたりしないように、レベルを調整しましょう。
上司が「この目標は1.2倍の目標」と思っていても、部下は「2倍の目標」と捉えている場合もあります。このギャップを埋めるために、現状の部下の能力と目標達成に求められる能力について、上司部下でしっかりと話し合うことが大切になります。
仮に、理想とするゴールが高水準の場合、段階的に目標をストレッチすることも有効です。
「できるはずがない」という諦めが生まれないように、マイルストーンを設けて、ステップ・バイ・ステップで目標のレベルを少しずつ引き上げていくのです。
その際、本人と話し合って、ストレッチ目標を「やるべき目標」「やるべき目標」「できる目標」に切り分けることも大事です。
本人が目標に納得していない場合、ストレッチ目標に対して、「(自分がそこまで)やる必要がない」「(目標達成)できない」「やりたくない(=取り組みがつらい)」といった思いを抱いている可能性があります。そのような思いを解きほぐすことが、本人の腹落ちにつながります。