地方移住促進というよりバラマキでは?
駆け込み成立した地方創生法に思うこと

 解散総選挙となり、今年は一層慌ただしい年の瀬になりそうだ。衆院が解散された11月21日、国会は「地方創生」法を駆け込み成立させた。人口減対策の基本理念を定めた「まち・ひと・しごと創生法」と、自治体支援の窓口を一本化する「改正地域再生法」である。 

 地方創生を重要テーマに掲げた安倍総理は、9月の所信表明演説で「これまでとは次元の異なる大胆な政策を取りまとめ、実行してまいります」と大見えを切った。しかし、成立した2つの法律は理念的なものにすぎず、具体策はこれからとなる。

 総選挙の政権公約に具体的な活性化策が盛り込まれるようだが、漏れ伝わってくるものはいずれもパッとしない。たとえば、自治体を支援する交付金を新たな創設する案がある。自治体の裁量でガソリン代を補助できるようにしたり、地域限定の商品券の発行や子だくさん世帯への独自支援を行えるようにしたりするものだ。今年度補正予算の柱に据え、3兆円規模を想定しているという。

 また、本社機能を地方に移転する企業に対し、税の優遇措置を講じる策などもあるようだ。企業の地方移転を促す狙いだが、いまさら効果は期待できないだろう。むしろ、地域内での起業支援に力を入れるべきではないか。

 若者や高齢者などの地方移住を促進するための策のようだが、「次元の異なる大胆な」政策というよりも、むしろ「これまでと同様のバラマキ策」にしか思えない。

 人口減少が進む地方自治体の間で、移住者の獲得が主要テーマとして急浮上している。様々な自治体がまるで競うように移住者への優遇策を新設しており、かつての企業誘致ブームが人の誘致に取って代わられた感すらある。

だが、付け焼刃で勧誘策を繰り出しても、なかなか思惑通リにはいかないものだ。そもそも、目先の優遇策に釣られる人はそう多くないし、金目の話で動くような人は見切りも早く、定着しにくいものだ。人の誘致は企業のそれと同じように、簡単ではない。