添え物として生きる
【岸見一郎×パセリ】
パセリ
24歳女性。家電メーカーのカスタマーサポートセンターに勤務。極度にネガティブな性格。休日は常に1人で行動し、趣味のラーメン屋めぐりや読書、特技のイラストに没頭している。髪の毛が天然パーマであることも悩み。セロリと言い合いになることが多いが、その様子はほぼ夫婦漫才。
Twitterアカウント=@Paseri_BKY
パセリ 岸見先生、よろしくお願いします。『BAR 嫌われ野菜』にはいろんな野菜がいて大切な仲間ばかりなのですが、正直私が一番嫌われてると思ってます。彼らは少なくとも人の口に入る機会が多くて、その上で合わないとか嫌いだとかいう判断をされています。でも私に至っては、大概どんな料理でも隅っこに置かれているただの添え物です。口すらつけてもらえないままゴミ箱直行という場合もあります。そんなんで好きも嫌いも言ってくれるな!というのが正直な気持ちです。このまま添え物で生涯を終えるのかという不安があるんです。
岸見 誰にも食べてもらえないわけじゃないでしょう?
パセリ そうですね。でも、たとえばフライドポテトの上に細かく刻まれたパセリを見ますが、あれがポテトを食べた人の喜びになっているのかなと……。お情けで使っていただいているのかな、くらいに思っています。
岸見 僕、昔パセリを栽培していたよ。
パセリ えっ、本当ですか?
岸見 毎日収穫があって、大量に食べてたよ。
パセリ それはそのままパクパク食べるみたいな?
岸見 うん、美味しいと思って食べてた。
パセリ 本当ですか……初めて積極的に食べる方に出会いましたよ。私が言うのもなんですが、そんな人いるんですね。
岸見 たしかに家族は「なんで食べるの?」とは言ってたけど(笑)。美味しいから食べてたなあ。そういう人が1人いるだけじゃダメ? いるという事実を知ることでもダメですか?
パセリ そうですね。もちろん1人でも評価されるのは嬉しいんですけど、ジャガイモとか人気の野菜がいるので、隣の芝生は青いといいますか……やっぱりみんなに好かれたいという気持ちはありますね。
岸見 でも、他の野菜にはなれないという事実を受け入れるしかない。
パセリ そうですね、なれないですね……。