上田 日本は「この秋いよいよ解散・総選挙か」という雰囲気ですが、アメリカでも4年に1度の大統領選の本選挙が、もう間近に迫っています。

 そんな折も折、リーマン・ブラザーズの破綻を契機に、アメリカ経済は激震に見舞われています。そこで今回のテーマは、「日本にも大きな影響をもたらすアメリカ大統領選と、今後のアメリカ経済の行方」です。在米経験のある竹中さんは、大統領選をどのようにご覧になりますか?

竹中 米国民は、政治や経済のことをすごく真剣に考えます。だから、大統領選は「4年に1度の民主主義教育の機会」と言われるほど。小学校でも、子供たちが各候補の立場に立って論争をするほどです。

 大統領を選ぶことは重要ですが、一緒に国民の政治・経済に対する理解も深まることが、スゴイですよね。

上田 それぐらいでないと、国民が直接大統領を選ぶというシステムは成り立たないのかもしれません。ところで、大統領選は経済とも切り離せませんよね。

竹中 もちろん、切っても切れないですよね。経済は政策に大きな影響を受けますが、その政策の権限を持つのが大統領なので、その立場はとても重要です。

上田 それでは、まず現在のアメリカの経済状況を見てみましょう。まず雇用情勢は大変厳しいです。最も一般的な指標である「非農業者部門雇用者数」は、2008年に入って8ヵ月連続のマイナス。通常、3ヵ月連続のマイナスでも「景気後退入り」と見なされるので、景気が後退しているのは明らかですね。