今回のCCCの失敗は、そうした自動車産業界の実態が如実に表れた結果だと思う。

 ざっくり言えば、自動車産業界全体の考え方が「古い」。長年に渡る、殿様商売の弊害だ。テレマティクスについても、作り手主導の「プロダクトアウト」のなかで起こっている「そこそこ大きめの変化」としか思っていない。

 自動車産業にいま必要なことは、エンドユーザーの立場からビジネス全体を考える「マーケットイン」型への大展開だ。そのキッカケがテレマティクスであり、アップルとグーグルによるスマートフォンと車載器の連携だ。

 だが、そこまで大掛かりな変革が必要だと思っている自動車業界従事者は、ごく少ない。

いまが正念場
目覚めよ、自動車業界従事者!

 2014年、世界市場でスマートフォンの普及台数は12億台と推定されている。この数字、奇妙なことに世界の自動車保有台数とほぼ同じだ。

 スマートフォンの世界シェアは、ざっと6割強がアンドロイト端末、3割強がiPhone。

 アップルとグーグルが主導権を持つこのデバイスがクルマと連携するのだ。各種の調査会社の予測データでは、2020年頃にはCarPlay、Android Autoそれぞれを搭載するクルマは1億台を超えるという。この場合のクルマとは、新車を意味している。2013年に世界市場の自動車販売総数は約9000万台であり、今後、新興国等の経済発展により自動車販売台数は2020年に1億台を超える。つまり、新車のほぼ全てにアップルとグーグルの直接的な影響力が及ぶのだ。

 繰り返すが、自動車産業従事者は、「テレマティクスの脅威」に対する認識が、あまりにも甘い。

 自動車産業にとって、アップルとグーグルはけっして「パートナー」ではない。
 彼らは自動車産業の収益を奪い取ろうとしている「敵」である。
 シリコンバレーは、自動車産業にとって「敵地」である。
 彼らにとって自動車産業は、「都合の良いお客さん」である。

クルマのクラウド化を象徴的に表現したイラスト。Connected Car Expoの講演で紹介された Photo by Kenji Momota

 こうした現実を直視するなかで「今日の敵は、明日の友」という臨戦態勢における生き残りをかけた、フレキシブルな戦略で、彼らとの共存共栄を考えていくべきだ。

 自動運転、燃料電池車など、時系列で見ると「次世代」と言える自動車関連技術。そうした正常進化とは別の次元で、厳しいビジネス戦争が起こっていることを、自動車産業従事者は肝に銘じるべきだ。