具体的な商品の構想こそなかったものの、スマホに代わる次世代の通信端末の開発を進めるために、縮小均衡であっても、スマホ事業にこだわる姿勢を見せたのだ。

 しかし、次世代型の端末開発は、スマホ事業を継続しながらでしか、実現できないというものではない。

 もちろん、事業を継続することで技術を磨き上げたり、顧客や通信キャリアを囲い込んだりする中で、開発に有利に働く面もあるが、そうしたメリットを簡単に打ち消してしまうほど、事業と収益環境が悪化しているのが、ソニーのスマホ事業でもある。

「ポストスマホと唱えていた“彼”(平井一夫CEO)と、同じようなことを言っちゃうんだね」。十時社長に抜本改革を期待していた一部のソニーOBからは、そうした落胆の声が漏れた。

提携か撤退かの選択

 モバイル分野では今後、人員削減など構造改革を順次進めることになるが、その費用は15年度に持ち越す見通しだ。

 14年度は「構造改革をやり切る年」と平井CEOが言いながら、コア事業のスマホだけは改革が間に合わず、取り残されることになる。これでは、もはやコア事業とは言い難い。

 少ないシェアで、ほそぼそと生きていくことを許さない浮沈の激しい業界で、ソニーは今後「他社と組むか、撤退かの選択を迫られる」(現職幹部)可能性も出てきた。

 来年2月の経営方針説明会で、抜本改革を先送りするような計画を出したとき、その失望は計り知れない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)