「ウォーカブル」な街・神楽坂に出現した新店
「新店といえば、原宿・渋谷・青山ばかり」という考えは、今の東京のトレンドからはズレています。
今や世界に知れ渡る“TOKYO”のトレンド発信地は少しずつ分散し、これまであまり注目されなかった立地にも光が当たり始めました。そして、その周辺から生まれる新たな潮流のなかでも、古く歴史ある街に斬新なお店が登場する流れこそ、今の東京の空気感といえます。
その代表的な街の1つが神楽坂です。
神楽坂は江戸時代から栄えてきましたが、ここ数十年は“かなり”が付くほど大人の街でした。そんな街に、新たなコラボレーションによって生まれたお店が出現したことがきっかけとなり、若い客層も呼び寄せているのです。
私も先日、神楽坂を6時間ほど歩きましたが、「ウォーカブルな街」としての魅力も再発見できました。
神楽坂は坂や一方通行、細い小路の多い場所として有名です。だから歩いて楽しい街。このような街を「ウォーカブル(歩ける街)」と呼びます。神楽坂は世界でもトップクラスの歩いて楽しい街でしょう。
そのポイントとなっているのが、地下鉄東西線の神楽坂駅前にできた「la kagu(ラカグ)」です。同店はこれからの小売業を変える業態といえる「キュレーショストア」としても注目されています。
今回は、キュレーションの持つ価値、そして神楽坂だからこそ、キュレーションに価値があるという意味を知り、これからのお店づくりの方向性を考えてみます。
異業種コラボの成功方程式とは何か?
このla kaguの注目点はいくつかあります。もっとも注目すべきは、「老舗出版社(新潮社)」と「ライフスタイルブランドを数多く手がける企業(サザビーリーグ)」とのコラボレーションであるという点です。出版社がこういった事業を手掛けるのは珍しいですし、更に他社とのコラボという点がまた斬新であることが特に話題を呼んでいます。