12月8日に発表された7~9月期のGDP改定値は、実質で前期比0.5%減、年率に換算して1.9%減。11月17日発表の速報値年率1.6%減からさらに下方修正された。

 速報値のときも民間エコノミストの予想を大きく裏切ったが、今回もまた専門家にとって想定外の事態となった。

 私がたまたま新幹線に乗っているとき、新聞社の法人企業統計の設備投資の数字が車内に流れた。

 それによると、7~9月期の設備投資が前期比で3.1%増だという。私もそれに驚き、改定値では相当の上方修正を予想した。シンクタンクによっては、「プラス2%」と予想したところさえある。

 しかし、実際はさらなる下方修正。法人企業統計に表れない小規模企業などの設備投資意欲が想像以上に減退しているからだと言う。

 この“改定値”は、現在進行中の総選挙にかなりの影響を与えることになるだろう。設備投資の数値予想も、大企業の動向ばかり見ているアベノミクスの目線による間違いとも言える。

アベノミクスは失敗に終わった

 折から麻生太郎副総理は応援演説で失言した。

「株価が戻り、円安に振れた。企業は大量の利益を出している。出していないのは、よほど運が悪いか、経営者に能力がないかだ」

 しかし、運が悪いのでも能力がないのでもない。

 急激で大幅な円安は、消費者はもとより地方経済や中小企業に大きな打撃を与えている。通常の円安傾向ではなく、意図的な政策の強行による集中的打撃なのだ。運が良くても能力があってもこれに抗することはできない。