円安によって頼みの輸出は伸びなかったが、その上、利益を得た輸出企業も現地生産の姿勢を変えていない。また、過去最高の300兆円を超える利益剰余金も、国内経済に還元される動きが乏しい。

 今後ともアベノミクスを続ければ、多数の円安倒産は避けられないし、生活がますます苦しくなることも必至の様相だ。

 現在の肌で感じる街角景気、そして今回の改定値で、景気が後退局面に入った印象が一段と高まった。アベノミクスは失敗に終わったのである。

 アベノミクス、とりわけ「異次元」でサプライズの金融政策については、「そんなうまい話があるのか」という疑いの目で見られてきた。10月の追加緩和では、政策決定会合で賛成5、反対4で決まったという。日銀の正副総裁を除いた6人では、わずかに2人が賛成したに過ぎない。無謀と言うべきだろう。

 今回のアベノミクスの金融政策は、金融専門家の金融専門家のための壮大な実験である。それ故に、失敗したときの被害は驚くほど大きい。今回の実験で私は、手に汗を握った例の小保方氏の実験を想起せざるを得ない。

 今回の金融政策がうまくいかなかったのは、財政当局への過度の配慮が隠されているからではないか。

 もしも、異次元の金融政策や財政政策に走らず、米国経済の復調に合わせて地道な財政・金融政策で対応していれば、景気はより順調に回復を続けた可能性もある。

「代案を示せ」と言うが、まずはアベノミクスの出口を模索するのが先決だろう。「アベノミクスを停止させる」だけでも立派な代案である。

 それにしてもアベノミクスには「想定外の事態」が多すぎる。“天候不順”など当然想定されるべきことも想定せず、あまりにも粗雑な構想ではないか。

 首相がどんなに弁明しても、景気は良くなっていないし、経済格差が拡大し続け、国民経済の二重構造化を進めてしまっている。

 与党は、選挙に勝っても負けても意地を張らずに軌道を大きく修正すべきである。