ダイヤモンド社刊 2000円(税別) |
「ベンチャーに取り組むのであれば、製品やサービスの意味を決めるのは顧客であって自分ではないことを思い起こす仕組みをつくらなければならない」(『イノベーションと起業家精神』)
ベンチャーにはアイディアがある。製品やサービスがある。コストは確かにある。そして収入があり、利益がある。だが、失敗するベンチャーには事業がない。
ドラッカーは、事業とは顧客の創造だという。予期せぬ市場を利用するよう、自らを組織しておかなければならない。市場志向、市場中心でなければ、競争相手のために働いただけに終わる。
予期せぬ市場からの予期せぬ反応が、本物か好奇心にすぎないかを見分けるのに、さしたるコストはかからない。わずかの感受性と作業が必要なだけである。外へ出て、見ればよい。市場に出て、顧客やセールスマンと時を過ごせばよい。
最大の危険は、製品やサービスが何であり、いかに買われ、何のために使われるかについて、顧客以上に知っていると思い込むことである。
いかにアイディアがすばらしくとも、いかに資金を集めようとも、いかに製品が優れていようとも、客が現れなければ話にならない。
「ベンチャーが成功するのは、多くの場合、予想もしなかった市場で、予想もしなかった顧客が、予想もしなかった製品やサービスを、予想もしなかった目的のために買ってくれるときである」(『イノベーションと起業家精神』)