日本そうじ協会「掃除大賞」&「文部科学大臣賞」同時受賞

 財団法人日本そうじ協会の今村暁理事長が工場見学にきてくださったとき、

「おたくの会社は産廃会社とは思えないくらいきれいだけれども、どんなドラマを乗り越えてきたのですか?」

 と尋ねられました。
 そこで私は、過去の経緯と当社が3Sを10年以上続けてきたことを説明しました。

 毎日「巡回報告書」をつくり、毎月業務レポートをつくり、ボランティアとして10年以上地域のゴミ集めをしてきたと。

 すると今村理事長は、

「一生懸命、活動を継続されてきたのですね。御社はこれからもっともっとさらによくなるでしょう。ぜひ体系的に掃除と環境整備を学び、『掃除大賞』に応募してみたらいかがですか」

 と言ってくれたのです。

「掃除大賞」とは、日本そうじ協会が主催するお掃除の全国大会。「掃除技術の向上とよい習慣づくり」に取り組み、目覚ましい活躍をした個人、企業が表彰されるものです。

 すると、他社のすばらしい実践が並ぶ中、私たちは2014年に、「掃除大賞」と「文部科学大臣賞」を同時受賞しました。

 10年以上も3Sを続けてきた継続性を高く評価していただいたのでしょう。
 表彰式で今村理事長は、こんなお話をしてくれました。

「埼玉県所沢市周辺で起きたダイオキシン問題を契機に、業界最大手の会社が地域と共生する企業として改革に取り組み、環境配慮型企業に再生したのは前例のないことです。『生まれ変わるには徹底してやるしかない』という固い決意、高い掃除の基準を守る信念がありました」

 私は、この賞は社員全員にいただいたものだと思っています。

 表彰式には、社員5人と一緒に行きました。
 自分たちの取り組みが評価されたのがよほどうれしかったのでしょう。
泣きながら笑顔の社員たちが、私のほうに歩み寄ってきて、
「社長、すごくうれしいです!」
 と言ってくれました。

「みんな、がんばったね。本当にあんたたちのおかげだよ」

 泣いている社員を見て、私の心にも熱いものがこみ上げてきたのです。
(第9回へつづく)

<著者プロフィール>
埼玉県入間郡三芳町にある産業廃棄物処理会社・石坂産業株式会社代表取締役社長。99年、所沢市周辺の農作物がダイオキシンで汚染されているとの報道を機に、言われなき自社批判の矢面に立たされたことに憤慨。「私が会社を変える!」と父に直談判し、2002年、2代目社長に就任。荒廃した現場で社員教育を次々実行。それにより社員の4割が去り、平均年齢が55歳から35歳になっても断固やり抜く。結果、会社存続が危ぶまれる絶体絶命の状況から年商41億円に躍進。2012年、「脱・産廃屋」を目指し、ホタルや絶滅危惧種のニホンミツバチが飛び交う里山保全活動に取り組んだ結果、日本生態系協会のJHEP(ハビタット評価認証制度)最高ランクの「AAA」を取得(日本では2社のみ)。
2013年、経済産業省「おもてなし経営企業選」に選抜。同年、創業者の父から代表権を譲り受け、代表取締役社長に就任。同年12月、首相官邸からも招待。2014年、財団法人日本そうじ協会主催の「掃除大賞」と「文部科学大臣賞」をダブル受賞。トヨタ自動車、全日本空輸、日本経営合理化協会、各種中小企業、大臣、知事、大学教授、タレント、ベストセラー作家、小学生、中南米・カリブ10ヵ国大使まで、日本全国だけでなく世界中からも見学者があとをたたない。『心ゆさぶれ! 先輩ROCK YOU』(日本テレビ系)にも出演。「所沢のジャンヌ・ダルク」という異名も。本書が初の著書。