年収増を狙うなら
MBAより「話し方」を学ぶ時代!?
神田 ある想いがあって出た言葉は、それを聞く人に少なからぬ影響を与えます。その想いとは何なのか? おそらく共感や共振を呼び起こすものだと思うのです。だから、その想いを伝える相手のことも考えなければならない。
スピーチというのは、自分一人で話しているように見えますが、実は“聴衆との共同作業”なのかもしれませんね。
矢野 おっしゃるとおりですね。たとえば、人前で話すときに「アイスブレイク」として、まず聴衆に質問をする方法がありますよね。「こういう方いらっしゃいますか?」という質問に対して、聴衆のなかに手を挙げてくださる方がいらっしゃいます。こうしたやりとりは、まさに“共同作業”です。スピーチにおいて聴衆は「協力者」なのです。
神田 話し方というと、どうしてもテクニックに溺れてしまいがちです。でも、テクニックから入ると、それにがんじがらめにされてしまう。だから、僕はあくまでも聴衆との共同作業だと思うようにしています。
そこに参加している人たちの心のなかに、どんな“音楽”が流れているのかをつかみ取って、その場に合う音楽を演奏する。そうすればグルーブが生まれる。スピーチってそういうものではないかなと。
矢野 グルーブを生むためには、想いを込めた言葉が必要だということですね。
神田 「想いの強さ」って、第三者に物事を伝えようとする場合、とても大切なことなのです。たとえば、全世界のYouTuberで一番有名な方が年間いくら稼いでいるかご存じですか?
矢野 想像がつかないですね。どのくらいですか?
神田 なんと約8億円です。日本で最も有名なYouTuberのHIKAKINで約1億円と言われています。米国のYouTuberのエージェントが先般、ウォルト・ディズニーによって買収されましたが、そのときの買収額はなんと約1000億円と言われています。こうした現象は、私たちにいろいろなことを示唆してくれています。
矢野 たとえばどういうことですか?
神田 「話す」ことが大きな影響力を持ち始めたということです。振り返ってみると、2008年にブロードバンドがほぼ浸透し、インターネットを介して配信される映像のクオリティが上がりました。誰でも簡単に映像を扱える環境が整ってきたのです。
結果、ビジネスを成長させるのに、映像を使って自分の想いを上手に伝えられるかどうかが、大きな意味を持つようになりました。
話し方だけではなく、自分自身の見せ方も重要です。かつてビジネスで成功するためには、MBA(経営学修士)を持っているかどうかが大切な条件とされてきましたが、これからはMBAを取得しているよりも、話し方や自分の見せ方が、収入を大きく左右する時代になるでしょう。
そこでは、想いの強さが、とても重要な意味を持ってくるのだと思います。