2014年が暮れていく。この1年を振り返ると、政治と経済の二つの分野に限れば“不毛の年”であったと言わざるを得ない。

 その象徴的な出来事が今回の総選挙であろう。

総選挙で与党圧勝の理由
有権者は寄り合い所帯の野党にこりごり

 多少の時間を置いたから、与党圧勝の理由が絞られてきた。(1)に野党のふがいなさであり、(2)に重要案件の先送りによる争点ぼかしであろう。その点では安倍晋三戦略が的中したと言えなくもない。しかし、これは安倍政権の危機をも先送りしたとも言えるだろう。

 前回私は(1)を最大の理由として指摘したが、その後の世論調査(18日朝日)によってそれが裏付けられた。何と72%の世論が「野党に魅力がなかったから」と答えているのだ。

 また「政権を任せられる野党」については、野党第一党の民主党は3%、第二党の維新の党も3%と全く評価されていない。両党合わせても6%と悲惨な結果が出てしまった。これはもう単なる野党結集という数合わせで対抗できる域を越えている。民主党政権の歴史的失敗を経験した有権者は寄り合い所帯の政党にはこりごりなのである。今回の結いの党と維新の会の合流は競合選挙区の調整効果はあったが、それ以上のものではなかった。

かつての「保守本流」と
その思想的輪郭とは

 さて、2年前の総選挙の頃から、私のところに「かつての保守本流、自民党宏池会のような考え方を打ち出す政党はできないものか」という声が寄せられるようになった。一般の人はもちろんだが、中には政治家やジャーナリストの声も少なくなかった。

 かつての保守本流とは、主として昭和20年代の吉田茂元首相が率いた自由党の流れを言っている。