いつの時代も、自ら学ぼうという人と、その機会を見いだせず時間に流される人がいます。様々な機会を学びと成長に結びつけようと心がける人は、自身の伸びる角度がほんの少しだけ上を向いているものです。ただ、そのほんの少しの角度の差は、1年2年…5年…と先になればなるほど大きな差になります。読書離れが叫ばれて久しいですが、読んだ本の量は、その角度の差を示すひとつのインディケーターになるかもしれません。なぜなら読書という行為は、主体的な関与をとても必要とするからです。お正月休みに、静かに本と向き合い、学びと成長のきっかけをつかむことになれば素敵です。(書評メルマガ「Webook of the Day」編集長・松山真之助)

楽しみながら学ぶ欲求!

まつやま・しんのすけ
1954年 岐阜県生まれ。名古屋大学工学部大学院修了。ビジネス書の書評メルマガ『We book of the Day』発行人、セミナーを通じた自律型の学びと成長の場「ジェイカレッジ」校長。KIT虎ノ門大学院で客員教授、東京藝大では非常勤講師として、ビジネスアイデア特論や社会事業マネジメント分野にて教鞭をとる。『早朝起業~「朝5時から9時まで」の黄金時間を自分のために使う方法』『マインドマップ読書術~自分のブランドを高め、人生の可能性を広げるノウハウ~』など著書多数

 今年のビジネス書の特徴を示すキーワードは「体系化」と「ストーリー性」、そして「視点のシフト」でしょうか。

 実際、体系的にものごとをまとめた本が注目されたように思います。百科事典やWikipedia のように、単に知識の集積と体系化だけではなく、そこに人間らしい面白いストーリーがあることが特徴です。ストーリー性というスパイスは、読み手の心をつかみます。

 特に三谷宏治さんの『ビジネスモデル全史』は、その大部な厚さと価格の高さにもかかわらず、多くの反響がありました。これは、体系化とストーリー性という縦糸と横糸のおりなす楽しさがあったからでしょう。

 マーケティングや事業戦略のエッセンスをビジネス・ストーリーの中で学べる『戦略は、一杯のコーヒーから学べ!』(永井孝尚さん)も注目されました。こちらは、メインとなる物語に、学びという味付けが魅力ですね。

 蔭山克秀さんの『やりなおす経済史』も経済の歴史の流れを物語のように展開して見せてくれるユニークな経済学の本といえるでしょう。物語の軸は、“人間の欲望”です。代々木ゼミナールで圧倒的な人気を誇る蔭山さんが展開する経済史ものがたりは、マンガを読むように読めます。 蔭山さんのこの本は、そんな見方があったのか!という驚きがあり、3つめの特徴である「視点のシフト」も感じさせてくれます。

 超高齢化社会や地方の衰退といった社会問題を考えるときも、「視点をシフト」させて考える必要がありのかもしれません。視点をずらし、本質に迫るヒントが書かれた本がおすすめです。『成功するシニアビジネスの教科書』『里山発電』『里山資本主義』などの本にそのヒントが書かれています。

 面白い視点から捉え、体系的に、しかもストーリー性をもって、ものごとをまとめた本は、ビジネスパーソンへの素晴らしいギフトといえるでしょう。

 それでは、年末年始、しばらくの休暇をあたらしい成長のきっかけにしてくれる本をご紹介することとしましょう。