焦りから再編へ
動いた電力会社

 一方で、電力会社の経営状況という面では、2014年は深刻さを増した年だった。原因は、原発が動かせないために稼働させている火力発電用の燃料購入。これがコスト増に直結し、経営を圧迫している。電力会社は電気料金の値上げを経済産業省に申請するなど、なんとか経営状況の好転を目論むが、国や世間からの「本当に無駄を省き、最後の手段としての料金値上げ申請なのか」という厳しい目に晒されており、そう簡単にはいかない。

 とりわけ、東京電力は福島第一原子力発電所の事故処理や被災者救済への費用負担も抱えており、このことは2014年初頭に専門家からは指摘されていた。(『原発と東電 電力業界の“ヤバい”状況のツケは国民に回る 元凶の原発と東電問題解決へ乗り越えるべき課題――安念潤司・中央大学法科大学院教授、弁護士』

 行き詰まり、苦境に喘ぐ電力会社の声は、廃炉検討や再編などの形で表面化した。関西電力は稼働開始から40年以上経つ美浜原子力発電所1、2号機の廃炉を検討しているという。これは経済産業省とのある種の駆け引きの産物。老朽化した原発の廃炉との引き換えに、他の原発の再稼働と料金値上げを認可してもらおうというのだ。(『原発再稼働と廃炉は表裏一体 関電廃炉検討に潜む国の思惑』

 再編という形では、東京電力と中部電力が火力発電新会社の設立で基本合意した。燃料部門の事業統合を進め、老朽火力発電所のリプレース(設備更新)も共同で取り組む。

 火力発電を中心に据えた中部電力と、原発再稼働へのメドが立たず、成長分野へ賭けなければならない東京電力という2社の思惑が一致した形だ。両者の思惑には温度差があると言われているものの、業界が置かれた厳しい環境が、再編を後押ししていることは間違いないだろう。(『東電・中電が「火力新会社」で基本合意 廣瀬、水野両社長が見せた微妙な温度差』

 東京電力の福島第一原発の事故処理は、いまだに難しく、厳しい道のりの半ば。なかでも地下水が流れ込むことで増え続ける汚染水処理はもっとも頭の痛い問題。その解決策である、1~4号機の周囲の地下を氷の壁で囲み、地下水を遮断する取り組みも、実際に凍らなかったり、地下に無数の配管が張り巡らされている原発プラント特有の複雑さがあったりと、越えなくてはならない難題がいくつもある。(『福島第1原発の地中に建設中 初公開された“氷の壁”の難題』