2015年3月北陸新幹線開通!一足お先の金沢ガイド <br />地元大手酒販店社長が明かす自腹でいける秘蔵のお店<br />――酒の井なみ屋社長 井波成英<br />北陸新幹線の開通で、東京~金沢観は最短2時間28分で結ばれる。写真は金沢の名所・茶屋街

2014年3月14日、いよいよ北陸新幹線が開通する。これで新幹線に乗って金沢まで出張に来るビジネスマンも急増することだろう。そしてどうせ来るなら美味しいものを食べたくなるのは人の性である。これはどうしようもない。そこで今回は寒い中にもかかわらず金沢まで出張に来ていただく方のために、単なる有名店ではなく、地元の方がいつもよく行く本当のおいしいお店を厳選してお教えしたいと思う。もちろん地元が愛するお店なので、懐にもやさしいこと請け合いだ。(文/酒の井なみ屋社長 井波成英)

北陸に秋葉原はなくとも
冬の味覚にAKBがある

 北陸の冬の醍醐味はなんといっても海の幸。そしてその中でも一押しはカニである。同じカニでも地域によって呼び名が変わる。石川県のお隣福井県では越前ガニ、さらに南下して山陰地方では松葉ガニなどと呼ばれるズワイガニは、石川県で水揚げされると加能ガニと名付けられ、地元産のズワイガニと証明するために産地と漁港が記されたプラスチック製の青色のタグが取り付けられる。

 2006年に産地認定されたばかりだが、既存の有名産地にも負けない、ぎっしりと身がつまりながらも柔らか、かつ弾力に富んだ歯ごたえのある身と、一口で口の中いっぱいに広がるカニ独特のジューシーな甘さと旨さがウリだ。またメスのズワイは香箱ガニといって、体の大きさがオスの半分以下ながら、オスでは味わえない内子と外子(ともにカニの卵)が何とも言えない美味しさがあり、値段もオスの約10分の1とあってか、こちらのほうが地元では人気があるほどだ。

 と、ここまで話をしながらご存じのとおり、カニには漁期というものが存在する。オスの加能ガニが11月6日から3月20日までメスの香箱ガニは資源を守るためにオスのそれよりも早く1月6日までとなっている。つまり北陸新幹線で来る時にはすでに香箱ガニは食べられないし、加能ガニにしても新幹線開通後1週間以内に金沢に出張に来ないと食べられないということだ。

 しかし、そう悲観することもない。日はまた昇るし、カニの漁期はまた翌年もやってくる。なによりも金沢の海の幸はカニが一押しではあるが、カニにも負けず劣らずの一押しがまだまだわんさかある。