今秋の臨時国会で労働者派遣法が改正され、派遣会社への規制が強化される見込みだ。日雇い派遣会社では違法行為が横行しており、禁止は不可避である。だが、法規制の強化だけで派遣業界がどこまで適正化するかは未知数だ。むしろ、派遣法の規制を逃れるグレーゾーンが拡大する可能性が高い。

 日雇い派遣大手のグッドウィルが7月末で廃業する。今月14日には、同社の日雇い派遣労働者らが日本経団連会長の御手洗冨士夫・キヤノン会長宛てに、廃業後の雇用確保などを求める要請書を渡しに行ったが、担当者は現れず、事実上の門前払いとなった。

 1986年に施行された労働者派遣法は段階的に緩和されてきた。1999年には製造業など一部を除いて派遣対象を原則自由化、さらに2004年には製造業への派遣も認められ、こうしたなかで日雇い派遣も急成長を遂げた。

 潮目が変わったのは昨年7月。参議院選挙で連合を支持母体とする民主党が第一党となった。偽装請負が社会問題化するなか、連合は昨年9月中旬、日雇い派遣などの登録型派遣を原則禁止することを求める方針を打ち出した。

 福田総理は昨年10月の代表質問で派遣法の見直しを検討すると答弁。昨年末には法令遵守の徹底を指示し、年明けの今年1月、グッドウィルが違法派遣などを繰り返したとして、全事業所で2~4ヵ月の事業停止命令を受けた。

 さらに今年6月に起きた東京・秋葉原の無差別殺傷事件で逮捕された容疑者が派遣労働者だったことを受け、舛添要一厚生労働相は「日雇い派遣はかなり厳しいかたちで見直すべき」と発言。来年の通常国会に提出予定だった派遣法改正案が、今秋へと繰り上がった。

 今月8日に与党の新雇用対策に関するプロジェクトチームがまとめた基本方針では、日雇い派遣禁止、マージン率の公開の義務づけ、偽装請負についての行政措置の強化などが盛り込まれた。