田房さんは漫画家として『母がしんどい』(中経出版)、ライターとして『男しか行けない場所に女が行ってきました』(イースト・プレス/1月30日発売)などの著書を持つ。ジェンダーに関する記事も多い。彼女が取材を行おうと思ったきっかけは、何だったのか。田房さんに話を聞くと、次のような答えが返ってきた。

「中学生の頃から電車通学をしていましたが、当時から電車内や路上でも痴漢に遭っていました。私だけではなく友人たちもそうで、『痴漢された』ということが日常会話でごく当たり前に出てくる状態でした。当時、私は痴漢に遭うことにすごく怒りを感じていて、『どうして痴漢に遭うの?』と大人たちに聞いていたのですが、納得のいく回答はありませんでした。

 3年ほど前に駅に貼られている痴漢防止のポスターを見たことなどがきっかけで、思いが再燃して痴漢に関することを色々調べましたが、痴漢冤罪に巻き込まれないための本や、強姦に関する本はたくさんあっても、痴漢被害や痴漢の加害者に関する本はほとんどない。それならば、自分で調べようと思いました。数年前に出産したのですが、自分の子どもから『どうして痴漢に遭うの?』『どうして痴漢がいるの?』と聞かれたときに、なんて説明すればいいのかと思ったことも理由です」

なぜ男女間で認識の差が生じるのか?
「痴漢冤罪」と「女性専用車両」問題

 電車内痴漢の問題とセットで語られることが多いのが、痴漢冤罪と女性専用車両の問題だ。ネット上ではしばしば、痴漢冤罪の怖さを訴える男性と、痴漢被害を受けたことのある女性の意見が対立することがある。女性専用車両についても、女性が「必要だ」と訴えることに対して、「自意識過剰だ」「逆差別だ」という反発の声が上がる。

 痴漢行為を行わないほとんどの男性にとって、痴漢被疑者であるかのように扱われたり、空いている女性専用車両の隣の車両ですし詰めになることが不快であることはわかる。ただ、その不快感は女性ではなく、痴漢行為を行う犯罪者に向けられるべきだ。