ピーク時からの50%低下で7兆円のメリット
日本にとって原油価格の下落は「神風」だが……

 内閣府の試算によると、原油価格が昨年のピーク時から約50%下がったことで、わが国経済には約7兆円のメリットがもたらされている。足もとの価格水準が続くと、それだけでGDPを約1%押し上げる効果も期待できる。

 また、円安によって輸入物価が上昇し、食料品などの価格が上がったことで、家計部門に厳しさが及んでいることを考えると、わが国経済にとって原油安は、まさに“神風”が吹いている状況だ。天はいまだアベノミクスを見放していないようだ。

 さらに、原油輸入量の多いインドなどの新興国にも、相応のメリットが波及するはずだ。今後は、原油価格の下落メリットがアジア地域の新興国にも及ぶはずであり、わが国の輸出企業にとっても少しずつその恩恵が顕在化するだろう。

 一方、これだけ短期間に原油価格が大きく下落すると、産油国経済が受ける痛手は大きい。特に、ロシアのようにエネルギー資源の輸出依存度が高いと、影響のマグニチュードは拡大する。

 すでにロシア通貨ルーブルは大幅に下落し、それに歯止めをかけるためにロシア中銀が7%を超える金利引き上げを行っている。金利引き上げはロシア国内の企業には重大なマイナスになる。また、輸入物価の上昇によってロシア国内の家計部門にはデメリットが波及している。

 足もとで景気減速が続くブラジルとロシアについては、すでにBRICsから脱落する可能性も示唆されている。原油価格下落によってロシアの外貨準備が底を突き、ロシア経済が破綻の淵に追いやられることになると、その影響は計り知れない。

 原油価格の急落によって、一時、世界的に株式や為替の市場が不安定化した。それは、大手投資家が保有するリスク許容量の問題を考えるとわかりやすい。