実際には「法治がどう議論されるか」よりも、「周永康に対する追加処分が発表されるか」に注目が集まった四中全会において、習近平国家主席は“周永康”の三文字に触れなかった。

 同会議後に執筆した第38回コラム(習近平は共産党内の権力をどこまで掌握しているのか?、2014年11月4日)において、(1)反対派からの逆襲を懸念したから、(2)共産党内の権力均衡の保持を優先したから、(3)江沢民や曽慶紅など周永康に近い長老たちに配慮したから、という3つを、習近平総書記が四中全会という政治の大舞台で周永康を処刑することを回避した理由に挙げた。

 その上で、「共産党の権威と政治の安定性を重視する習氏は慎重に慎重を重ねつつ権力関係をマネジメントしているように見える。周永康に対する一層の処分に関しては今後の情勢を見ていかなければ分からない。ある日突然、国営新華社通信が“周永康処刑”を発表する可能性もある。2014年7月29日の夕方、雷を伴った大雨が北京の街を覆う直前、特別な前兆もなく、“周永康落馬”が公表されたように」と指摘した。

 そして、2014年12月5日から6日に日付が変わる頃、金曜日から土曜日に差し掛かる微妙なタイミングで“周永康逮捕”が国営新華社通信によって公表された。

2015年も続く
“聖域なき”反腐敗闘争

 反腐敗闘争は2015年も続くに違いない。

 年末年始における中央閣僚級・地方省長級高級官僚の“落馬”状況を振り返ってみると、前述の令計画元全国政治協商会議副主席兼統一戦線部長(12月22日)に加え、王敏山東省共産党委員会常務委員・宣伝部長・済南市書記(12月18日)、楊衛澤江蘇省共産党委員会常務委員・南京市書記(2015年1月4日)、張昆生外交部部長代理(2015年1月2日)の3人が“落馬”している。

 これによって、2012年11月に開催された共産党十八党大会から2015年1月12日現在までで“落馬”した中央閣僚級・地方省長級高級官僚の数は61名に達したことになる。習近平・王岐山両氏による反腐敗闘争に関する1つのメルクマールであるこの数字は、2015年も緩やかに増加していくものと私は予測する。

 2015年の反腐敗闘争を見ていくうえで、留意しておくべきファクターがある。前述の第38回コラムにて、私は“周永康落馬と四中全会”の政治的関係性をウォッチする過程で気になったポイントを、もう一つ挙げている。

「四中全会という場において周永康に対するより一層の処分を回避した実情から、“追い詰めるところまで追い詰めるが、トドメの一発は刺さないことを以て党内権力の均衡を計る”という習近平総書記のバランス感覚と政治スタイルが浮き彫りになったことは、今後、中国共産党政治の方向性と本気度を占う上で重要である。」