パリでは世界各国の要人が集いフランス史上最大規模のデモを実施されたが、市内では依然シビアな警戒が続いている Photo:RERTERS/AFLO

フランスのパリで7日、覆面をした二人組が風刺週刊紙「シャルリ・エブド」編集部を襲撃。編集部内でアサルトライフルを乱射し、編集長を含む12人を殺害し、11人を負傷させた。編集部襲撃後に逃走を図ろうとした二人組は、付近をパトロール中の警察官と遭遇。命乞いをする警察官を射殺する瞬間はビルの屋上に避難していた一般人によって携帯電話で撮影され、その一部が世界中に発信されたことで大きな衝撃を与えた。2人組の容疑者(兄弟であった)と彼らと繋がりがあったとされるアフリカ人は、それぞれ別の場所で人質をとって籠城するが、警察の特殊部隊によって射殺されている。一連の事件では言論に対するテロだけではなく、マイノリティに対する不安や、マイノリティが社会のメインストリームに対して抱くフラストレーションをも露呈した。(取材・文/ジャーナリスト 仲野博文)

パリを恐怖に陥れた連続銃撃事件
容疑者の一人はすでにシリアに逃亡か

 パリ周辺で7日から9日にかけて、何があったのか。事件について簡単に説明しておく。

 現地時間7日の午前11時半ごろ、パリ中心部にある風刺週刊紙「シャルリ・エブド」編集部に覆面をした二人組が侵入した。二人は当初、近くにある別の建物を襲撃したが、その建物はシャルリ・エブドが資料室として使っており、編集部員は誰もいなかった。二人は建物の外に出て、近くの歩行者に銃を突き付けて編集部の場所を聞き、編集部の入ったビルに向かった。二人はアサルトライフルとショットガンで武装し、携帯型のロケット弾も所持していた。

 編集部の入ったビルに到着した二人は、受付にいたビルの管理担当者を射殺。その後編集部を急襲し、銃弾50発以上を乱射。二人が襲撃した時、編集部は週に1回行われる編集会議の最中で、編集長を含む10人が殺害された。目撃者の証言などから、二人組は終始「神は偉大なり」という言葉を連呼しながら、乱射を続けたのだという。犠牲者には編集長のステファヌ・シャルボニエ氏の護衛を担当していた警察官や、編集会議にゲストとして招待されたシャルリ・エブドとは無関係の男性も含まれている。

 編集部での乱射後、二人組は建物の外に出て逃亡を図ろうとしたが、その際にパトロール中の警察官と遭遇し、警察官との間で銃撃戦が始まった。銃撃戦で負傷した警察官は歩道に倒れこみ、命乞いをしたが、近付いてきた容疑者に頭部を撃ち抜かれ殺害された。銃撃戦の一部始終は建物の屋上に避難したエンジニアの男性によって携帯電話で撮影されており、のちに世界中のメディアが報じたことで、シャルリ・エブド編集部襲撃事件の象徴的なシーンとなった。