「380円なら気にしない。これまで通りに牛丼を食べに来ると思う」
昨年末、吉野家の店舗を訪れた男性客はこう語った。だが、「これが400円を超えたら来る回数が減るかもしれない」と付け加えた。
Photo by Ayako Suga
吉野家は昨年12月17日の15時から、300円だった「牛丼」の並盛を380円に値上げした(税込み価格)。
値上げの背景にあるのが、米国産牛肉価格の高騰である。米国内での需給バランスが崩れている上、昨今の円安も加わり、国内で流通する米国産牛肉ショートプレートの価格は、2013年9月に1キログラム550円だったものが、14年10月には1080円へと約2倍に値上がりした。
牛は1年に1頭しか出産しないため、この相場は当面は続くとみられている。
最大の課題は、値上げが消費者に受け入れられるかどうかだった。ところが、吉野家の12月の既存店売上高は前年同月比で100.2%と上々。客数は91.6%と落ち込んだものの、客単価は109.4%と上昇しトータルで100%を維持した。