集団的自衛権は、客観的には「何かあったらアメリカと一緒に戦争するぞ」という意思表明をしていることを意味します。そうやってあまり抑止力を強調し過ぎて、緊張を高めるようなやり方は、長期的に見て、かえって日本の安全にとってマイナスの面の方が大きいのではないかと思います。

──日本の「平和のブランド」を活かせとおっしゃっていますが……。

 私は別に、日米同盟や、防衛力をしっかり持つことが、不必要と言っているわけではありません。ただ、やはり専守防衛で、他国の戦争には関わらないという姿勢が、むしろ今こそ求められている時代だろうと思います。

 その結果、70年間1人も戦死者が出ていないというのは、実はすごいことなのです。他に先進国の中で第2次大戦が終わって70年間、戦死者を出していない国はおそらくあまりない。

 日本というのはそういう国なんだというのは、大きな“売り”になっていく。

 キーワードはグローバリゼーション。地球が経済的にはもう、国家主権も国境もないような世界になってしまった。それには2つの側面があります。大国間の戦争が割に合わないものになったということと、見捨てられた地域における、不平等感、不満の鬱積に、対応できなくなっているということです。

 例えばウクライナであるとか、中東の国であるとか、あるいはアフリカといった、見捨てられた地域においては、自分たちのアイデンティティが害されているという被害者意識を生んでいる。

 そういう問題に対処していくときに、アメリカのように軍隊を送り込んで政権を転覆する国という認識で受け止められるのではなく、イラクでも一発も弾を撃たずに、イラク人を一人も殺さなかった国なんだという、その“ブランド力”は、むしろ日本の強みとして生かしていけるところだと思います。

 それをもっと生かしていくことを考える方が、長期的には、世界の平和にもつながるし、日本の国益にも合う。第一それが、日本ができること、日本の身の丈に合ったことではないかと思います。