百科事典に文学全集。
二度と読まないとはわかっているけど……
また、捨てないと判断して手元に残しておく本は、なにも今読む本だけではありません。「思い入れのあるもの、思い出のもの」もここに入ります。女性の場合は、結婚したときに祖父母からもらった料理本などがそうでしょう。学生時代に読んだ岩波文庫や難解な本の背表紙を見るだけで当時の自分を思い出して落ち着くという男性もいました。それらは本としての役目は終え、思い出の品となり、心の安定剤になっています。親が目につく場所に「飾って」おいてあげましょう。
ちなみに、よく相談されるのが、百科事典と文学全集です。高値で買った記憶があるので、なかなか捨てられないのでしょう。親御さんからすると、古い百科事典は情報が古くて使えないと理屈ではわかっていても、知識の宝庫を処分するなんて想定外だったり、文学全集は自分が文学好きだったころの「思い出」だったりします。そのうえ、当時は高値だったこともあり、なおさら処分しづらいのが現状です。本はメンテナンスに手間がかかること、「揃いモノ」の大型本は本自体が重くて場所もとり、防災面でも保管がたいへんだということを伝えます。
ある70代の女性は、最初は百科事典や文学全集を処分するなんてとんでもないと思っていましたが、子どもが次に帰省する前に自分から業者を呼んで処分したそうです。片づけていくうちに、読まない本をとっておくよりも、今読みたい趣味の菜園の本があればいいと思ったとのこと。気持ちが前向きになったケースです。
保管する手間を親が具体的にイメージできれば、手放す決断を下しやすくなります。