アメリカの携帯ファンや業界関係者が首を長くして待ち望んでいる製品がある。リサーチ・イン・モーション(RIM)の「ブラックベリー・ボールド」だ。今年5月に発表され6月に発売予定だったが、延期が続き、現在のところ11月発売の見通しである。延期の理由は、通信キャリアであるAT&T3G網での通話状態を念入りにテスト中だからだ。
AT&Tの3Gと聞いて思い出すのは、今年7月に発売になったiPhone3Gのトラブルだ。昨年デビューしたiPhoneをアップグレードし、高速ダウンロードや企業向けサービスを謳い文句に鳴り物入りで登場したものの、実際にはダウンロードが遅い、通話が途切れるといった苦情が殺到した。
RIMが発売日をたびたび延期してまでも念入りなテストを行うのは、アップルとは桁違いの数の企業ユーザーを抱え、大切な情報ネットワークを担う責任ある機器メーカーとしての自負をアピールしたいがためのようにも思える。なにしろ、ブラックベリー・ボールドは、RIMの社運を握る新製品と目されているのだ。
米スマートフォン市場での
シェアはRIMがアップルを圧倒
RIMはカナダを拠点とする会社である。日本市場には、2006年秋にNTTドコモと提携し進出、外資系企業で使われている以外には一般的な知名度は低いが、アメリカで「ブラックベリー」と言えば、企業ユーザーの“定番”携帯として知らない者はいない。
1999年にポケットベルを発売したRIMは、その後プッシュ電子メール機能搭載機を発売。その時点ですでに多くの企業ユーザーを手中に収めていたが、2002年になってからは、さらに音声通話やウェブ機能を追加。じわじわと機能性を高めていく戦略で企業ユーザーをすっかりロックインした上、スマートフォンのハイエンドな機能を求める消費者へも触手をのばしてきた。