だから、この本を自分で書きました(笑)。アントレプレナーシップは「プロフェッショナル」として扱われないといけない、と私は思います。専門知識の塊ですけど、ひとりの偉大なグルはいりません。みなの知識を集約すること、そして共通言語が必要です。そもそもスタートアップは「複雑なシステム」だと理解してください。でも、そのシステムを統合化して、どこから始めて駒を進めていけばいいか、ガイドが必要でしょう。それが、この著書です。起業プロセスを24ステップでまとめています。

起業家になるには、海賊のようなスピリットと<br />海軍特殊部隊が持つスキルの両方が必要だ<br />〜MIT式スタートアップに学ぶ〜24ステップを示す双六
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 これは素晴らしい!と褒めてくれる人も含めて、多くはこの24ステップの図を見ると、まず「24ステップって随分多いね、それ2〜3ステップに集約できないの?」と仰います(笑)。

 残念ながら「ノー」です。アントレプレナーシップはそもそも困難を伴うし、大変なことを受けとめながら働けない人は起業家にはなれません。

 次によく指摘されるのが「24ステップが複雑に折れ曲がっているけど、直線化できないのか?」という点です。

 答えは「ノー」です。もとよりアントレプレナーの道は曲がりくねった道であり、ときどき戻ったり反復したりしなければいけません。ほんの時々、いいこともありますし、子ども向けの双六みたいにとっつきやすく作ったつもりです。

 ただし、この素敵な“ユーザー・インターフェース”、見かけは簡単そうでも、背景には難しく厳格な共通言語が隠れています。たとえば「TAM(Total Addressable Market)」という最大市場規模を指す言葉が出てきますが、その定義はもちろん、どうやって算出するか、といった点も含めて本書には書いてあります。

 では、24ステップの本論に入りましょう。