24ステップの歩みを進めながら、主に6つのテーマを定義・克服していきます。

 まず出発点となるテーマは「顧客は誰か?」です。

(1)顧客は誰か?
ステップ1:市場を細分化して理解する
ステップ2:足がかり市場を決めよう
ステップ3:エンドユーザーを定義する
ステップ4:足がかり市場の最大規模を算出しよう
ステップ5:潜在顧客像(ペルソナ)をイメージする
ステップ9:見込み客10人を見つけよう

 ビジネスの必要十分条件は、製品でも技術でもなく「お客様は誰か」ということです。製品すら、誰に提供しているのかをまず考えてからでなければ出す意味はありません。誰を雇用すればいいのか、どのようにビジネスモデルを構築すればよいか、どのようにサービスを行いメッセージを発信していけばいいかなど、すべてはお客様の視点から考えていかなければなりません。

 この単純そうだけど重要な事実について、私は実に3社の起業を経て、ようやく理解できました。これは「ユーザー・ドリブン型デザイン」という手法で、なにも目新しくはありませんが、そうした明確な方法論を用いて、「お客様が誰か」「お客様が一番気にしていることは何か」を探索していくことが重要です。特に典型的な潜在顧客像(ペルソナ)を定義することでお客様を合理的に理解するステップ5は重要です。

 誰が自分たちの顧客か理解できたら、第2に取り組むべきテーマは「顧客のために何ができるか?」です。今までの積み重ねをベースに、ルールに従って、お客様が欲しいと思う製品、お客様に価値を提供できる製品をつくる方法論です。

(2)顧客のために何ができるか?
ステップ6:製品のフルライフサイクルを知ろう
ステップ7:製品仕様を視覚化する
ステップ8:製品の価値を数量化する
ステップ10:事業のコアを定義する
ステップ11:市場の戦略的ポジションをとろう

 前ステップでペルソナ以外にも10人の実在する顧客像を考えてきたので、彼らに対して自分たちが提供しようとしている価値を、我々にしかできないかたちでどのように行うべきかを考えていきます。

 学生や技術者たちはこのあたりのステップまでくると、何かを作りたくてウズウズしています。でも私はまだ、この段階で試作はさせません。これは「何かをつくりたい」という性分をもっているエンジニアたちにとって非常に辛いことです。でも、一度何かを作ってしまうとこれに固執する「IKEA(イケア)効果」に陥りますから、絶対にオススメできません。