「自社にリーダーシップを発揮できる人材が圧倒的に不足している」。こういう悩みを抱えるリーダー層は多い。なぜ日本企業は、リーダー育成が不十分なのか。P&G、GEという世界トップクラスの「ハイ・パフォーマー」育成企業でリーダー人材育成のリアルを体得した木下氏が、その具体的アクションを説く。

将来のリーダー候補者が社内にいない!?

世界トップクラスの“リーダー育成”に必要な5つのアクション木下達夫(きのした・たつお)
日本GE 人事部長

慶應義塾大学卒業後、P&Gジャパン人事部に入社。採用、組織担当人事業務に関わる。2001年日本GE入社、北米・タイ勤務を経験。その後プラスチックス事業部ブラックベルト。栃木工場人事責任者、GEキャピタルリーシング人事ディレクターを経て、同事業部アジア人材・組織開発リーダーとしてアジア10カ国のリーダー育成に貢献。11年にサバティカルリーブ(休職)で8カ月間アジア、中東、アフリカ、南米など新興国25カ国62都市を視察。12年5月より現職。これまで世界51カ国を訪問。GAISHIKEI LEADERSのサポートメンバーとしても活躍する。

 ヘイグループの「ベストリーダーシップ企業調査2014」によると、日本企業の回答者のうち「将来のリーダー候補者が社内に十分にいる」と回答したのは24%で、世界トップ20社の平均70%と比較すると圧倒的に低い。

 ではなぜ日本でリーダー育成が十分にできていないのか?

 世界トップ20社平均と比較してみると、5つの項目で大きな差があった。

●将来リーダーにつくための体系的なキャリアパス・職務が明確
●全社員が自分に可能性のあるキャリアパスを理解している
●部下を持つリーダーが積極的に自分の時間を人材育成に努めている
●主要リーダーの後任候補を積極的に育成
●全社員にリーダーシップを実践する機会がある

 今回の調査で世界1位がP&G、2位がGEであった。1位をGEが過去5回、P&Gが3回受賞しており、過去9回全てトップ20に入っているのはこの2社のみである。そこで、P&G、GEで体験した両社の事例から、「世界トップクラスの“リーダー育成“に必要な5つのアクション」を挙げたい。このアクションの主体は“ 部下を持つリーダー(管理職)”全員である。

世界トップクラスの“リーダー育成”に必要な5つのアクション