取り組みが成功しているいくつかの企業の事例を取り上げたが、それぞれに共通点が1つある。それは、どの制度も「現場の声」「若手社員の声」を積極的に拾おうとしているところだ。経営者や幹部が考えた制度ではなく、自分たちで考えた制度を経営者が採用するという方式を、とっている企業である。

 確かに、上から押しつけられる制度の場合、それがどれほど優れたものであっても、社員が活用せず形骸化している制度も多い。当たり前の結論かもしれないが、まずは当事者の話を聞くということが重要なのだろう。

たばこを吸うオジサンとたばこを
嫌う若者をどう共存させるか?

 ここで再び、『Rethink Work』のイベントで紹介された話題を取り上げたい。それは、スタンフォード大学を卒業したデザイナーらが設立した、「Ploom」というサンフランシスコの企業に関する話題だ。同社はたばこの一種であり、燃焼による煙ではなくVaporと呼ばれるたばこ葉由来の成分を含む霧状のものを使った、電気加熱型の「たばこ用具」を制作している。火を使わない、灰も出ない、たばこ特有のニオイもないというたばこだ。

 今はたばこを吸わない若者が増えているし、また周囲にたばこを吸う人がいないという環境で育った人も多いので、喫煙者が思う以上に世の中は喫煙に対して過敏になっている。禁煙社会への動きがグローバル化するなか、Ploom創業者は、いわばたばこを再定義したわけだ。

 登壇者の佐俣氏は、「自分の周囲でたばこを吸っている人はいない」と話すが、Ploomが紹介されると、「隣にPloomを吸う人がいても気にならない」と述べた。世の中ではオフィスの禁煙化が進められているが、喫煙者が一定割合いるなかで、完全な禁煙化に踏み切れない企業も多いだろう。そうした企業にとっては、たとえばこのような喫煙者と禁煙者の共存の形もあるかもしれない。

 サイボウズのように、離職率低下を目指すある種徹底的な施策には抵抗のある企業も多いだろうが、たとえばオフィスの喫煙者、禁煙者の共存というテーマだけを切り取っても、企業にはまだまだ改善すべき余地が山積しているのではないだろうか。

 企業社会において、「若者を3年で辞めさせない」職場づくりへの試行錯誤は、今後ますます熱を帯びるだろう。