テニスからゴルフまで。
1人の選手が話題独占

 一時代を築いたスターのプレーをもう一度見たいと思う人が多いのは当然だろう。明るい話題だし、日本のスポーツ界を活性化させる効果はある。

 だが、この一連の流れを見ていて疑問を感じる部分がある。テニス界、サッカー界内部でも、総じて2人の復帰を歓迎する空気があることだ。大会の主催者やスポンサー、マスコミ、ファンが喜ぶのは分かるが、現場の人々、指導者や選手がそれに同調するのはおかしいのではないか。

 スーパースターとはいえ、ひとりの選手の復帰に話題が独占されるのは、現状のテニス界とサッカー界の魅力のなさ、停滞状況を示しているといえる。

 プロテニスは男子こそ錦織圭というニューヒーローが登場したが、女子は32歳の杉山愛の孤軍奮闘状態。森上亜希子、中村藍子など有望な若手もいるが、世界の上位に進出するまでには至っておらず、話題になることは少ない。

 サッカーはJリーグ各クラブに熱烈なサポーターは育ったが熱気は内向きで、全般にサッカー人気が広がっているとはいえない状況だ。間近にワールドカップアジア3次予選や北京オリンピックが迫っているというのに、注目度は今ひとつ。目玉となるスター選手が見当たらないからで、その点からも中田待望論が出るのだ。

 このような状況を招いてしまったテニス界、サッカー界の関係者は反省することはもちろんだが、一方で復帰を喜ぶ流れを不快に感じ、反発しなければおかしいのである。

 今のところ、選手で声を上げたのは杉山愛だけだ。要約すると、長いブランクがあるのに勝ち続ける伊達さんはやはりただ者ではないと賞賛しつつ、復帰の動機である「若手へ刺激を与えたい」という言葉を取り上げ、「これで刺激を受けてできるようなら、前からできてるような気がしないでもない」と書いている。復帰には“違和感”を持っているのだ。

 サッカー界からも「いくら中田さんが天才でも、数ヵ月のトレーニングで抜かれるほど、僕らはそんなに甘くありませんよ」と堂々と言う選手が出てくるべきである。