

このほか、青色LEDメーカーのクリーの創業者も親交のある人物の1人です。青色LEDといえば、「今世紀中には不可能」とまで言われていた基本技術を開発したのは日本人。それなのに、事業化においては世界にリードされてしまっています。本当に残念ですね。
クアルコムは、モバイル機器向けチップを開発する世界最大のコンピュータチップメーカーです。ケータイのメーカーがなぜ儲からないかというと、ここに高いライセンスフィーを払っているからです。この会社はモノをつくりません。アイデアを売るビジネスですから、あらゆるモノに自社技術の携帯チップを入れようと血眼になって探しています。
カグル(Kaggle)は、私の友人が始めた会社ですが、9万人の分析者(データサイエンティスト)にビッグデータの分析を依頼できる知のネットワークを持っているのが強み。コンピュータではまだ難しい、ゲノム解析など大量の計算を分担して行うことで、問題解決のヒントを導き出しています。
量子コンピュータのD-ウェイブ・システムズ(D-Wave Systems)は、物理学者のたまり場ともいえる企業です。通信が盗聴されたことを教える暗号の開発や、量子コンピュータ技術を実用化していて、グーグルやNASA(アメリカ航空宇宙局)がすでに購入しています。
さて、話を冒頭の、なぜ日本から「MITスマーテストカンパニー50社」に選ばれる企業が生まれないかということに戻しましょう。
成功している企業に共通しているのは、自分のネットワークを、外部のネットワークといかにつなぐかということに経営者が長けている点です。自社と関係ない分野の人とのつながりがアイデアを生む刺激になっているのです。
つまり、「ラージ・オープン・ネットワーク」が「1+1=2」でなく、「3」以上にする原動力になっているということです。
日本はこの逆で、「スモール・クローズド・ネットワーク」の企業が多いように思えます。たとえば、IT業界の人はIT業界の人としか付き合いがないといった具合。あなたの会社やあなた自身はどうでしょうか。
もちろん、外部のネットワークの知見がすべて正しいというわけではありません。エラーを見抜く力も必要です。
ただ、外部ネットワークを使う利点は、競合他社に知られることなく、他業界で新しいアイデアをテストできるということ。成功している企業の特許出願を見てみると、他業界の分野の商品・サービスの出願数が比較的多い。グーグルもそうです。