
武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長CEO(最高経営責任者)は2026年6月の定時株主総会をもって退任することを表明している。外部から招聘され、14年に社長COO(最高執行責任者)、15年に現職となってから約10年。ウェバー氏は武田薬品に何をもたらしたのか。連載『武田薬品 「破壊と創造」最終章』の本稿では、時価総額と社長報酬の詳細な推移、そして超高額報酬のからくりを解説する。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
ウェバー氏の直近報酬は21.6億円!
報酬開示の国内製薬役員でダントツ
長年、国内製薬で売上高トップであり続ける武田薬品工業。
振り返れば2000年代の業界大再編で他社が国内同士の合併に動いた結果、アステラス製薬(藤沢薬品工業と山之内製薬が合併)や第一三共(第一製薬と三共が合併)に肉薄されたことはあった。だが武田薬品は19年のアイルランド・シャイアー巨額買収で売上高3兆円超となり、以後は国内業界では孤高の存在となっている。
外国人を中心とした経営陣の報酬も、国内業界で孤高の存在となっている。
クリストフ・ウェバー社長CEO(最高経営責任者)の報酬は25年3月期で21億6000万円。有価証券報告書で開示された各社役員報酬では業界でダントツであり、東京商工リサーチによると25年3月期決算の国内上場企業の役員で5番目に高かった。
14年に外部から招聘されて入社したウェバー氏の15年3月期の報酬は5億700万円。この10年で報酬は約4倍にアップした。この間のトータル報酬はなんと約170億円にも上る。
だがこの“超”が付くほどの高額報酬は武田薬品の時価総額の成長に見合うものかどうか、疑問の声は少なくない。次ページでは社長報酬と時価総額の詳細な推移、そして超高額報酬のからくりを解説する。