有酸素運動や筋トレで脚力を鍛えることは、筋肉の酸素をエネルギーに変える力(専門用語で「酸素利用能」と呼ばれる)を上げる。続けていくにつれ、身体を動かしたときに息切れをしなくなる。逆に言えば、運動をしていない人は心臓への負担がかかりやすい。 

「海外の研究では、心筋梗塞の治療後、心臓リハビリに参加した人と参加しなかった人を6年間、経過観察したところ、性別・年齢・心筋梗塞発症時の進行度にかかわらず、参加した人は死亡率が低下している」(牧田病院長補佐)

 このほか、作業療法士は衣服の着脱や掃除などのとき、どのように体を動かせば心臓に負担がかかりにくいかを指導する。言語聴覚士は術後の食事時にスムーズに飲み込みができるように訓練をしてくれる。

まだまだ少ない
外来を開設する医療機関

 埼玉県川口市在住の菅原義之さん(71歳)は昨夏、ランニング中に動悸が起こるようになった。やがて、坂道を上ると息苦しくなり、休み休み歩くようになった。専門医のいる病院で精密検査を受けた結果、心臓に3カ所の狭窄があると指摘され、冠動脈バイパス手術を受けた。

 手術後、心臓リハビリが始まった。5日目まではベッドでの起き上がりや廊下での歩行訓練。6日目からは、牧田病院長補佐が「午前と午後の2回、15分ずつ、エアロバイクをこぐ」とプログラムを組んだ。管理栄養士からも塩分摂取に関する食事の指導を受けた。

 今後は自宅でウオーキングなどの自主トレーニングを続けながら、週1回は近くの病院、月1回は同大学病院で、自主トレの効果や方法が正しいかどうかを確認していく方向だ。

 この通院による心臓リハビリはとても重要なものだが、外来を開設する医療機関はまだまだ少ない。埼玉医科大学国際医療センターの心臓リハビリテーション科では、他の病院からの紹介状(診療情報提供書)があれば診ているが、今後の外来開設の増加が期待される。