それをすぐさまローン申込みに走ることだと誤解してしまう人がいます。中には「お金がないことが私のストレッサーの第1位だったのに、ローンで解決できないなら、認知なんて時間の無駄じゃない」と言う人もいらっしゃるのですが、それも誤解です。今、どのくらい使えて、将来はどのくらいのお金が必要かを考えるのであって、全部一度にローンで返済するでは、課題を設定したことにはなりません。

 よくある例に、金銭が足りないために買えない道具(たとえば車やパソコン、ブランド品など)と、それを持っていない自分が、ストレッサーの第1位だったので、多額の借金をして、順番をつけた商品を今は必要がないものまで買い求めてしまうなど、メチャクチャな対処に走っていくこともあります。

 物質面だけでなく、能力でも同じような誤解をする人がいます。認知の第1段階で、ストレッサーの第1位は、「自分に社会的な地位がないこと」と結論を出し、今の能力以上のものになかば興奮状態で挑戦して、無駄な挫折を経験したり、社会的支援が足りないことを理由に、やみくもにアドバイスを求めて、援助してもらう人の選択を間違えてしまったり、これも正しい「課題の設定」にはなりません。

 ここまで読むと解るように、第2段階では「冷静な判断力」が必要です。これは、個人差があって難しいところですが、簡単に説明すれば、「課題の設定」は、金銭、道具、援助してくれる人、制度や組織など、直接利用可能なものに対して、正しく選択ができるかどうかです。自分の能力や社会的地位といった、個人差があるものをどれだけ使いこなせるかということです。

「課題の設定」ができたら、
しめたもの

 やれやれ面倒くさい。正しい選択とか、能力や社会的地位を使いこなすなど、自分にはとてもできない、と言う人もいらっしゃるでしょう。これも誤解です。私はどれもこれも、自分ひとりで養えとは書いておりません。

 認知の第2段階で「課題の設定」ができたら、そこからは、あらゆる周囲の力を借りてよいのです。たとえば、今からどのくらいのローン計画なら自分にも立てられるのかを相談してもよいし、転職を考えるのなら、いつがいいかを考えることも「課題の設定」です。そのためにどういった人の話を聞くのがいいかを決めるのも「課題の設定」です。

 簡単ではないかもしれませんが、人のお世話ではなくて、自分のお世話なのですから、次にまた新しいストレッサーが攻撃をかけてきたときに役立つと思えば、認知の2段階を最後までやってみるのは、興味のある訓練だと私は思います。やってみなくては、何も先は見えてきませんから。

 次回は、訓練によって身についた認知の能力をどう使っていくかの具体的な方法に話を進めます。