こうした増築家屋の過大徴収は、1970年から1984年の期間に集中しており、1件当たり平均で年間3700円の固定資産税が取り過ぎとなった。該当する増築家屋が約3000件と非常に多いため、市が対象者に返還する金額は億を超えることになるという。

 新座市は土地と建物の両方で、固定資産税の課税ミスを長年、続けていたことになる。そうした重大ミスの発覚はいくつもの偶然がたまたま重なったことによるもので、奇跡に近かった。市の担当者はそれまで、誰1人として重大ミスに気づかなかったのである。現在も全件調査中のため、確定値ではないが、市が納税者に返還する金は加算金と合わせて約8億4000万円に上る見込みだという。

 内訳は、土地の還付金(取り過ぎた税金の返還分)が約3億6000万円、加算金(利息で、利率は1.9%から5%)が約1億6000万円、家屋の還付金が約2億2000万円、加算金が約1億円である。年間の予算規模が約500億円の新座市にとって、課税ミスによる想定外となる約8億4000万円の支出は、大きな打撃となるのではないか。税金を取られ過ぎた住民はもとより、直接被害に遭わなかった住民に対しても、お詫びの言葉だけで済むような話ではないだろう。

意図的な課税・徴収ミスもあり得る?
税金の過大徴収に揺れる全国の自治体

 新座市の一件は、埼玉県内の自治体関係者を慌てさせたようだ。「うちは大丈夫か?」と不安になり、あわてて確認作業に入った自治体もあった。そして、不安が的中してしまったところもあった。

 たとえば、埼玉県加須市である。今年2月10日に「住宅用地に対する課税標準の特例措置の適用誤りについて」発表している。課税データや航空写真、現地調査などによる確認作業を行ったところ、36件の適用誤りが判明したという。市は対象者にお詫びするとともに、速やかに還付の手続きを行っていくことを明らかにした。加須市は誤りの原因を、「特例措置を適用すべき土地の電算システムへの入力ミス」としている。

 こうした自治体の税をめぐる人為的なミスの実例を知ると、こんな疑問が湧いてこないだろうか。人為的なミスで税を過大に課してしまったケースがあるのなら、その逆も起こり得るのではないか。さらには人為的なミス、つまり過失ではなく、意図的に課税や徴収に手を加えるような悪質なケースはないのだろうか、という疑問である。

 つまり、自治体の税担当者らによる課税・徴税での不正行為である。次回は、この点についてレポートしたい。特定の住民に対する「税のおめこぼし」の驚きの実態を明らかにしたい。